オリジナル文書: http://www2b.meshnet.or.jp/~g_morita/tut-code/tutfaq1.html

TUT-Code とはなにか? (0.04)


<Subject> TUT-Code とはなにか?
<Item> T-Code, TUT-Code
<Date> 1993/11/25

【Q】 TUT-Code について教えてください。

【A】 TUT-Code は、無想式ストローク入力と呼ばれる漢字入力方式です。

現在ではキーボードから漢字を入力する方法として、 かな漢字変換方式が一般的に使われています。 これはご存じのように、漢字の読みをかなで入力し、 変換によってコンピュータがディスク上の辞書を引いて その読みに相当する漢字を表示・選択するものです。

一方のT/TUT-Code[#1] といった漢字入力方式では、 変換という操作を経ずにキーの組合せだけで漢字を直接入力します。 人間の側が、個々の漢字を入力するにはどうすればよいかという 手順(コードまたはキー・ストロークと呼ぶ)を覚えることになります。

たとえば、TUT-Code であれば「ymr」と打てば「漢」が入り、 「no」と打てば「字」が入る、したがって「ymrno」と打てば「漢字」が入る、 「変」は「gc」、「換」は「lhf」といった具合です。 (実際にはアルファベットで覚えているわけではありません)

歴史的にはこのような方式は、かな漢字変換方式と同じか、 あるいはそれ以上に古いものです。 初期のころには連想式というものがありました。 これはたとえば、かなの「ミラ」に相当するキーを打つと「鏡」が入力される というように、漢字とそれを入力するためのコードとの関係を 連想によって覚えやすくしようとしたものです。 カナ2文字で漢字を入れる方法としては、川上さんのラインプットが有名です。 これ以外にもカンテックのKIS とかリコーや 日立の最初のワープロに使われていたものなどがあります。

しかし連想によって関係づけられる漢字とコードには限界があります。 また連想式でも熟練すれば連想によって コードを思い出すということはなくなります (だとすれば、連想そのものが結局のところ無駄になってしまいます)。 そこで連想をやめて漢字の出現頻度やキーの打ちやすさを定量的に調べ、 それをもとにコード配列を決めようという流れがでてきました。 これが T-Code です。

T-Code ではホームポジション上下に最上段の数字キーを加えた40キーを使い、 2ストロークで約1600の文字[#2] が入力可能です。 また、かなも漢字と同じ扱いで、出現頻度によってコードが決定されています (カタカナもひらがなとは別のコードが割り振られています)。 したがってコード配列には, 字の意味による規則性はまったくありません。

T-Code のあと、最上段のキーは打ちにくい、かなの配置がばらばらでは初心者が しりごみする、などの反省から TUT-Code が設計されました。 かなは、子音・母音のローマ字形式[#3] で規則的に配置し(ひらがなとカタカナは、 モードを切り替えて入力します)、ホームポジション上下3段の30キーを使い、 漢字は2ストロークで725文字、3ストロークで1800文字が入力可能です。 TUT-Code は、豊橋技術科学大学(略称TUT)の大岩研究室で開発され、 エプソンの「タッチ16」、ギャルドの「タッチタイプ」として 商品化されたことがあります。


【C】 かぜさんの回答に河原さん、神田さんの補足をプラスして、まとめたものです。
オリジナルメッセージ:「キーボード会議室」#011
関連メッセージ:「特設:T/TUT-CODEを考える」#009, #013, #019

[#1] T-Code とTUT-Code を合わせて、T/TUT-Code と呼ぶことがあります。

[#2] 計算では、5(横)×4(縦)×2(左右)の2乗ですので1600文字になりますが、 一部のストロークは制御キーとして使われています。 また、実際に割り当てられている文字数は人によって異なっているようです。

[#3] 正確には、かなを音素と補助記号で表しています。